肥満・肥満症(ひまん・ひまんしょう:obesity/BMI・内臓脂肪)体重を整えることは、複数のリスクをまとめて減らす近道です
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ABOUT肥満と肥満症とは「肥満」と、治療の対象になる「肥満症」は別のことばです
肥満は、体に脂肪がたまりすぎた状態です。日本では、体重と身長から計算するBMI(ビーエムアイ)が25以上で肥満と判定します3。おなかまわり(腹囲・へその高さで測ります)は、男性 85cm・女性 90cm 以上が、内臓脂肪がたまっている目安です3。
| 区分 |
BMI(kg/㎡) |
| 低体重(やせ) |
18.5 未満 |
| 普通体重 |
18.5〜25未満(標準は22) |
| 肥満(1度) |
25〜30未満 |
| 肥満(2度) |
30〜35未満 |
| 高度肥満(3〜4度) |
35 以上 |
BMI=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)。たとえば身長 165cm・体重 70kg なら 70÷1.65÷1.65 = 約 25.7 です。
肥満症とは(肥満とのちがい)
肥満(BMI 25 以上)は「体格」を表すことばで、それだけで病気というわけではありません。肥満症は、肥満に高血圧・脂質異常症・糖尿病などの健康障害が伴っている、または内臓脂肪型肥満(おなかの内臓のまわりに脂肪がたまるタイプ)である場合で、医学的に減量が必要な状態です3。
めざすのは、まず3%から
「標準体重(BMI 22)まで落とさなければ」と気負う必要はありません。肥満症の減量の目安は、3〜6か月で今の体重の3%です3。これだけでも、血圧・血糖・コレステロールなどの数値が改善に向かいます3。
| 今の体重 |
3%減の目安 |
| 70 kg の方 |
約2.1 kg減(→ 約67.9 kg) |
| 80 kg の方 |
約2.4 kg減(→ 約77.6 kg) |
| 90 kg の方 |
約2.7 kg減(→ 約87.3 kg) |
高度肥満症(BMI 35 以上で健康障害がある場合)では、今の体重の 5〜10% が目安です3。急な減量ではなく、ゆっくり・続けられるペースで進めます。
COMPLICATIONS放置するとどうなるか重なった病気を通じて、脳卒中・認知症へ
肥満は、高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸という病気が重なる土台になります13。これらは症状がないまま重なっていき、重なるほど動脈硬化(血管が硬く狭くなること)が進み、脳への負担も大きくなります。逆にいえば、体重を整えることは、これら複数のリスクをまとめて下げる近道です。
脳卒中との関係
肥満は、高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸の重なりを通じて、脳卒中のリスクを押し上げます1。体重(BMI)そのものより、おなかまわりの脂肪(内臓脂肪)と、それが招く血圧・血糖・脂質の乱れが深く関わると考えられています3。
認知症との関係
中年期(35〜65歳)にBMI 30 以上の肥満がある方は、将来の認知症が約 1.3 倍と報告されています5。同じ中年期でも BMI 25〜30 では、はっきりした差は見られていません5。中年期の肥満は、認知症の予防できるリスク因子の一つにも数えられています4。65歳以上の方は、すぐ下の問いをご覧ください。
「65歳を過ぎても、やせるべき?」
65歳以上では、太っていることが認知症のリスクを上げるという結果は出ていません2。むしろ、やせていくこと(低栄養=栄養が足りない状態や、筋力の低下)のほうが心配なこともあります3。65歳以上でめざす BMI の目安は22〜25です3。減量が必要な場合も、筋トレと十分なたんぱく質で筋肉を落とさないことが大切です。自己流で急にやせようとせず、担当医にご相談ください。
TREATMENT治療(食事・運動・行動・お薬)がんばりに頼らず、続けられる仕組みで整えます
減量の中心は、食事・運動・毎日の行動の工夫です。あわせて、すでに重なっている病気も整えていくことが、脳を守ることにつながります3。
食べ方を見直す
- 目安
- 極端な制限より、続けられる工夫が大切です。減らしやすいところから一つずつで十分です3
- 続け方
- 腹八分目・よく噛んで、ゆっくり食べる
- 甘い飲み物・夜食・「ながら食べ」を控えめに
- 野菜・海藻・きのこ・たんぱく質を先に
- 注意・相談
- 極端な制限は続けにくく、反動が出やすくなります。小さな工夫の積み重ねで大丈夫です
こまめに動く・運動
② 体を動かす
運動が難しくても、食べ方の見直しから始められます(減量の中心は食べ方)
- 目安
- 有酸素運動(ウォーキングなど、少し息がはずむ運動)は、内臓脂肪や血圧・血糖を整える助けになります
- 続け方
- できる日に、少しずつ
- エレベーターより階段、ひと駅歩くなど日常で動く
- できれば軽い筋トレも(筋肉を保つと戻りにくい)
- 注意・相談
- 膝・腰が痛む方や持病のある方は、無理のない方法を始める前にご相談ください
記録して、習慣にする
- 目安
- 毎日体重をはかって記録すると、食べ方や生活とのつながりが見えてきます
- 続け方
- 毎日、同じ時間にはかる
- 手が届く目標から始める
- うまくいった工夫は続け、無理は手放す
- 注意・相談
- 完璧を目指さず、増えた日も責めずに、長い目で続けましょう
重なった病気も一緒に管理
④ 脳を守るために
減量と並行して、血圧・血糖・コレステロールも整えます
- 目安
- 高血圧・脂質異常症・糖尿病の治療も、あわせて行います
- 注意・相談
- お薬を飲んでいる方は、自己判断でやめずにご相談ください
「何度やっても、リバウンドしてしまう」
リバウンドは、意志の弱さではありません。急な減量ほど戻ることが多く、極端な食事制限では筋肉も落ちやすくなります。記録をつけながら、無理のないペースで習慣にしていくと戻りにくくなります。
お薬
肥満症の治療薬(週1回の注射)
条件を満たす方に使うお薬
保険で使える条件が決まっている減量のお薬です
- 使える条件
- 保険で使える主な条件です6
- 高血圧・脂質異常症・2型糖尿病のいずれかがあり、その治療を受けている
- BMI 35以上、または BMI 27以上で肥満に関連する健康障害(高血圧・脂質異常症・糖尿病・睡眠時無呼吸・膝などの関節の病気 など)が2つ以上
- 処方する医療機関で、管理栄養士の指導を受けながら食事・運動療法を6か月以上続けても、十分に減らない
処方できるのは条件を満たした専門の医療機関に限られ、使える期間にも上限があります
- やせる目的だけでの使用
- 健康障害のない肥満や、美容・やせる目的に使うお薬ではないと、学会が注意を呼びかけています7。適正な使い方以外で重い副作用が出ても、公的な救済制度の対象にならない可能性が高いと、厚生労働省も注意を呼びかけています8
- 当院では
- 条件に当たりそうな方は、専門の医療機関へご紹介します。重なった病気の管理と脳・血管の確認は、当院で続けられます
OUR CLINIC当院でできること体重のご相談、重なった病気の治療、血管と脳の確認
当院では、体重と、重なった高血圧・脂質異常症・糖尿病をまとめて管理できます。脳神経を専門とするクリニックとして、動脈硬化や脳が実際にどうなっているかも確認できます。生活習慣病の全体は生活習慣病のページでご覧いただけます。
通院のたびに
-
体重・数値を評価
体重・BMI・腹囲と、血圧・血糖・コレステロールを確かめ、肥満症かどうかも含めて今の状態を整理します。
-
内服で管理
高血圧・脂質異常症・糖尿病を、内服と定期的な血液検査で管理します。
必要に応じて
-
血管・脳を確認
頸動脈エコー(首の血管の超音波検査)・MRI・CTで、動脈硬化や脳の状態を実際に確かめられます。
必要なときは
-
必要時は紹介
肥満症の治療薬が必要なとき、高度の肥満、睡眠時無呼吸のくわしい検査が必要なときは、対応できる医療機関へご紹介します。
「体重のことだけで、受診していいの?」
はい。体重・腹囲と、血圧・血糖・コレステロールをまとめて確かめ、続けやすい方法を一緒に考えます。ほかの内科に通院中の方も、かかりつけと併行して、脳を守る視点での相談・検査を受けられます。健診の結果票があればお持ちください(なくても受診できます)。