ギラン・バレー症候群(GBS:Guillain-Barré Syndrome)先行感染後に急速進行する手足の脱力、早期治療が予後を変える

ギラン・バレー症候群のページ冒頭イラスト。「早く治療を始めれば、回復をめざせる」の見出しとともに、手すりにつかまり理学療法士に見守られて歩行リハビリに取り組む男性を中央に描く。右側には、風邪やお腹の不調などの先行感染、病院への受診、点滴での免疫治療、リハビリ、回復して散歩を楽しむまでの流れを小さな場面で示し、「早めに受診・早期治療・あせらず回復」という回復への道のりを表している。
⚠ 数日で進行する手足の脱力・呼吸が苦しい方はこちら

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どんな病気なのか、
はじめから知りたい
神経の病気です
1〜2週前の下痢や風邪のあと、
両足に力が入りにくい
受診の急ぎ方の目安へ
ものが二重に見える・ふらつく・
顔が左右で違う
別の形もある
「ギラン・バレー」と言われ、
入院が決まった
入院で治します
家族が入院中。
この先が知りたい
半年で6〜8割
退院したが、しびれ・痛み・
疲れやすさが続く
残る方は多い
よくなったのに、
また悪くなった
6〜10%に起こる
ワクチンを
受けてよいか心配
増えていません
当てはまらない方は「この病気について」から

ABOUTギラン・バレー症候群とは自分の免疫が、手足の神経を誤って攻撃する病気です

手足へ信号を送る末梢神経(まっしょうしんけい)を、体の免疫が誤って攻撃することで起こります。神経のいたみが治れば、力も戻っていきます。日本で新しく発症する方は、年間およそ10万人に1〜2人です7。

きっかけは、発症の1〜4週間ほど前(多くは1〜2週前)にかかった、ありふれた感染です2。いちばん多いのはカンピロバクター腸炎(下痢)で、新型コロナなどの風邪が先行することもあります。感染が神経を壊すのではなく、感染で活性化した免疫が神経を巻き添えにする、という順番です。

TYPESこんな気づき方をします多いのは足から、まれに目とふらつきから

多くは、1〜4週間ほど前(多くは1〜2週前)の下痢や風邪のあとに始まります2。どちらの形も数日で進んでいくのが、ほかのしびれ・脱力との分かれ目です。

ギラン・バレー症候群の典型的な気づき方を2場面で示したイラスト。各場面の上にラベルが入る。左は「1〜2週前の感染」で、風邪やお腹の不調などの先行感染でつらそうにする男性。右は「足から力が入らない」で、階段の手すりにつかまって立つ男性を配偶者がそばで支える様子。先行感染のあと足から手へ上っていく左右対称の脱力という特徴を表している。

足から手へ上がる、左右対称の脱力

気づき方
  • 足から始まり、手や体へ上がっていく
  • 左右どちらも同じように抜ける
  • 階段や立ち上がりがつらい
進む速さ
数日〜2週間でいちばん重いところ(ピーク)に達します2。

目とふらつきから始まる形(フィッシャー症候群)

気づき方
  • ものが二重に見える
  • ふらついて、まっすぐ歩けない
  • 顔の動きが左右で違う
そのあと
手足の脱力や飲み込みにくさへ広がることがあり、入院で見守ります。

FLOW受診から治療までの流れ当院の役割は、その日のうちに入院先へつなぐことです

急性期のこの病気は、入院して見守りながら治療する病気です。当院では入院の治療は行いません。

受診から治療・回復までの流れを左から右に4場面で並べたイラスト。各場面の上に「当院で気づく」「病院へ紹介」「入院で治療」「リハビリ」のラベルが入る。当院で医師が打腱器で足の反射を診てGBSを疑う、紹介状を渡して高次施設へ橋渡し、入院して腕から免疫グロブリン静注療法(IVIg)の点滴を受ける、回復期にスタッフと平行棒で歩行訓練をする、の順に同じ男性が進んでいく。
  1. その日のうちに見立てる当院 力の抜け方・反射・飲み込み・息を診ます。必要なら院内の MRIで脳の病気を除きます。
  2. 入院できる病院へつなぐ同じ日 脳神経内科のある病院へ、当院から連絡します。急ぐときは救急車で搬送します。
  3. 診断して、免疫の治療を始める入院先 髄液や神経の検査で診断し、免疫の治療を始めます。
  4. 退院後を一緒に見ていく当院 しびれ・痛み・疲れやすさのご相談をお受けします。リハビリの続け方も、ご相談ください。

当院と専門病院の役割

  1. 当院その日につなぐ
  2. 専門病院入院で免疫治療
  3. 当院退院後を一緒に

SEVERITY重症度をどう測るかHughes 機能スケール(FG)— 歩けるか・呼吸補助が必要か

GBS では「日常でどこまで動けるか」を、Hughes 機能スケール(FG:Functional Grade)で 0〜6 に分けます。ひとりで歩けるかと、自分の力で息ができるかが治療の強さを決める物差しになります12。

グレード日常での状態の目安
FG 0〜2:日常生活はおおむね可能
FG 0正常(症状なし)
FG 1軽い症状はあるが、
ほぼ普段通りに動ける
FG 2支えなしで 5m 歩ける
入院で免疫治療FG 3〜4:ひとりで歩けない — ここから免疫治療
FG 3歩行器・支えがあれば 5m 歩ける
FG 4ベッドや車椅子の生活
(5m 歩行は不可)
ICU 級管理FG 5:呼吸補助が必要 — 命を守る集中治療
FG 5人工呼吸器の補助が必要
—FG 6
FG 6死亡

TREATMENT入院先で受ける治療免疫の治療と、息・脈の見守り

ここからは入院先での治療です。血漿交換は発症4週以内、免疫グロブリン静注療法は発症2週以内に始めた場合に効果が示されています2。歩けない方では、どちらも第一選択です。

免疫グロブリン静注療法(IVIg)

何をするか
健康な方の血液から作った製剤を、5日間かけて点滴します2。
始める時期
発症2週以内2。点滴だけで行えるので、多くの病院で使われます。

血漿交換(けっしょうこうかん)

何をするか
血液の液体の部分を入れ替えて、神経を攻撃する成分を減らします。
始める時期
発症4週以内2。設備の整った病院で行います。

息と脈の見守り

なぜ必要か
力の抜けは息をする筋肉にも及びます。人工呼吸器が必要になるのは、欧米で20〜30%、日本で10〜13%です25。
何を見るか
息の深さと飲み込み、血圧と脈。入院は、この変化を早く捕まえるためです。

RECOVERYいつ、どこまで戻るのかピーク・歩けるまで・残りやすい症状

力が入りにくいのは、いつまで

ピークまで
数日〜2週間。定義のうえでは4週以内に止まります2。日本の調査では中央値7〜8日でした6。
よくなり始めるのは
ピークのあと、横ばいの時期が数日〜数週間(ときに数か月)続いてから、回復に向かいます2。

ひとりで歩けるまで

6か月・1年
発症から6か月で6〜8割の方が、ひとりで歩けるところまで戻ります2。欧米の調査では、1年後は83%でした4。
戻りきらない方
欧米では、6か月後も歩けない方が15〜20%。日本では、症状が固定した時点で約9%と報告されています5。

残りやすい症状

大きな障害
日常生活に大きく響く障害が残るのは、およそ2割です3。
軽い症状
疲れやすさは6〜8割、痛みは1年後も3人に1人。軽い症状まで含めると、残る方はもっと多くなります2。
当院でできること
しびれ・痛みのお薬の調整をします。リハビリの続け方も、ご相談ください。

いったん良くなって、また悪くなったとき

どのくらい起こるか
6〜10%の方に起こります(治療関連変動・TRF)。多くは発症から2か月以内です2。
再発とは違います
治療の効き目が切れたときの変動です。追加の治療を検討しますので、担当医にお伝えください。

「退院したのに、少し動いただけでぐったりしてしまう」

疲れやすさは6〜8割の方に残る、この病気のあとに起こることです2。無理に動いて取り戻すものではありません。休む時間を先に決めておくと、動ける時間は結果として伸びます。

VACCINEワクチンを受けてよいか心配な方へ今わかっていること

ワクチンとこの病気

インフルエンザワクチン
上昇が見られた年でも、100万接種あたり1〜2例です9。
新型コロナワクチン
日本の mRNA ワクチン(ファイザー・モデルナ)では、増加は確認されていません910。報告は海外の別の種類です。
感染そのもの
むしろ新型コロナにかかること自体が、GBS のリスクを約3倍に上げます10。
過去に発症した方
接種の前にご相談ください。

WARNING SIGNS受診の急ぎ方の目安

1つでも当てはまれば、その色の行き先へ。赤 → 黄 → 青の順に。迷うときは、急ぐほうへ。

緊急

すぐに119番

  • 息が苦しい・飲み込めない・話しにくい・むせ込みが続く
  • 数日で立てない・腕が上がらない
  • けいれん(いまは止まっていても)・意識がもうろう
    てんかんと診断されている方の、いつもの発作は → てんかんのページ
  • 両脚、または両手両脚のしびれ・力の入りにくさが、数時間〜数日のうちに広がる・強くなる
  • 息が苦しい・飲み込めない・話しにくい・むせ込みが続く
  • 数日で立てない・腕が上がらない
  • けいれん(いまは止まっていても)・意識がもうろう
    てんかんと診断されている方の、いつもの発作は → てんかんのページ
  • 両脚、または両手両脚のしびれ・力の入りにくさが、数時間〜数日のうちに広がる・強くなる
119に電話する
注意

できるだけ早めに受診

  • 1〜2 週前に下痢・かぜのあと、力が入りにくくなってきた(両脚・両手両脚に広がる・強くなるときは赤へ)
  • 立ちくらみ・脈の乱れが目立つ(脈が乱れて気を失った・胸が苦しいときは119番)
  • 1〜2 週前に下痢・かぜのあと、力が入りにくくなってきた(両脚・両手両脚に広がる・強くなるときは赤へ)
  • 立ちくらみ・脈の乱れが目立つ(脈が乱れて気を失った・胸が苦しいときは119番)

目安は数時間のうち。診療時間外・休日は、救急外来へ。

受診先に迷うときは #7119(福岡県の救急医療電話相談・24時間)13。つながらないときは 092-471-0099。

0942-42-1155 に電話
相談

予約して受診

  • GBS で入院後の経過観察・リハビリの相談
  • 後遺症の痛み・しびれの薬物調整
  • 慢性経過なら CIDP との鑑別もご相談を
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  • 後遺症の痛み・しびれの薬物調整
  • 慢性経過なら CIDP との鑑別もご相談を
WEB予約・アクセス
この目安の根拠

受診の時期を書いた一般向けの資料(総務省消防庁・東京消防庁・英国NHS など)を中心に、段を決めました。福岡県の #7119 も、消防庁の基準で判断しています。資料の無い行は、当院の医師が判断しました。下に、行ごとの主な資料を挙げます(番号はページ末の参考文献)。

突然の激しい頭痛・経験したことのない頭痛・頭痛と吐き気・熱と首の硬さは、頭痛のページの「この目安の根拠」と同じ資料です。片側のしびれ・急な見え方の異常・意識やふるまいの変化・けいれんは、よくある症状のページの「この目安の根拠」と同じ資料です。

赤(すぐに119番)

  • 息が苦しい・飲み込めない・話しにくい:英国NHS(ギラン・バレー症候群:顔の筋肉の動きの悪さ・飲み込めない・話しにくい・腕が上がらないは救急車)14、healthdirect(息が苦しいときは救急車)15
  • むせ込みが続く:当院の医師の判断で、この段にしました。
  • 数日で立てない・腕が上がらない:英国NHS14・総務省消防庁の救急受診ガイド(Q助)(しびれの表:手や足が上がらない)11
  • 両脚・両手両脚のしびれや力の入りにくさが数時間〜数日で広がる:Q助(しびれの表・腰痛の表:足や手が上がらない・足を動かせない)11。しびれだけが広がるときも、当院の医師の判断で、この段にしました。

黄(できるだけ早めに受診)

  • 下痢・かぜのあと、力が入りにくくなってきた:英国NHS(ギラン・バレー症候群が疑われるときは急ぎの受診)14・healthdirect(急いで受診)15と同じです(Q助では、手足が上がり歩けるときは「夜間なら翌日の診察でもよい」の扱いです11。英国・オーストラリアの資料に合わせ、この段にしました)。
  • 立ちくらみ・脈の乱れが目立つ:受診の時期を書いた資料が無いため、当院の医師の判断です。脈が乱れて気を失ったとき・胸が苦しいときは、消防庁の電話相談の手引き(失神:動悸・胸の痛みを伴う)・英国NHS(失神:胸の痛み・動悸)とも救急車の扱いで1214、119番にしました。
  • 時間外の相談先(#7119):福岡県救急医療情報センター13

青(予約して受診)

  • 退院後の経過・後遺症・慢性の経過:受診の時期を書いた資料が無いため、当院の医師の判断で、予約の段にしました。

当てはまる症状をくわしく確かめる

赤 すぐに119番

  • 息が苦しい・飲み込めない・話しにくい・むせ込みが続く
  • 数日で立てない・腕が上がらない
  • けいれん(いまは止まっていても)・意識がもうろう
    てんかんと診断されている方の、いつもの発作は → てんかんのページ
  • 両脚、または両手両脚のしびれ・力の入りにくさが、数時間〜数日のうちに広がる・強くなる
119に電話する

黄 できるだけ早めに受診

目安は数時間のうち。診療時間外・休日は、救急外来へ。

  • 1〜2 週前に下痢・かぜのあと、力が入りにくくなってきた(両脚・両手両脚に広がる・強くなるときは赤へ)
  • 立ちくらみ・脈の乱れが目立つ(脈が乱れて気を失った・胸が苦しいときは119番)
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青 予約して受診

  • GBS で入院後の経過観察・リハビリの相談
  • 後遺症の痛み・しびれの薬物調整
  • 慢性経過なら CIDP との鑑別もご相談を
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FAQよくある質問

免疫グロブリン静注療法(IVIg)と血漿交換、どちらがいいですか?
A. 効果はほぼ同じです。体の状態と病院の設備で選びます。
  1. ① 効果に大きな差はない 回復までの期間や、歩けるようになる割合に大きな差はないことが、比較試験で示されています8。どちらを選んでも、回復の見込みは変わりません。
  2. ② 多くの病院で使いやすいのは IVIg 免疫グロブリン静注療法は点滴だけで行えるため、第一選択になることが多いのが現状です。血漿交換は、太い血管に管を入れて血液を回す設備が要ります。
  3. ③ 2つを重ねても上乗せはない 両方を続けて行っても、追加の効果は確認されていません8。ステロイドだけの治療も、この病気には効果がないことが分かっています。
CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)かもしれないと言われました。何が違いますか?
A. 進む速さと、治療の続け方が違います。
  1. ① 進む速さで見分ける ギラン・バレー症候群は数日〜2 週間でピークに達します。CIDP は2 か月以上かけてゆっくり進みます2。
  2. ② 治療の続け方が違う ギラン・バレー症候群は急性期に治療を集中して行い、そこから回復に向かいます。CIDP は長い期間にわたって免疫の治療を続けるのが中心になります。通院の形も変わります。
  3. ③ ぶり返しが重なるときは見直す 発症から8 週を超えての悪化や、3 回以上のぶり返しがみられる場合は、急性に発症した CIDP の可能性を考えて、診断をあらためて見直します2。

アクセス・診療時間

確認中…
診療時間を確認しています
つつみ脳神経外科クリニック
曜日 月 火 水 木 金 土 日・祝
午前 9:00 – 12:30 休診
午後 14:00 – 18:00 14:00 – 17:00 14:00 – 18:00 14:00 – 17:00
午前
月〜土 9:00 – 12:30
午後
月・火・水・金 14:00 – 18:00
木・土 14:00 – 17:00
休診
日曜・祝日

※ 受付は午前・午後ともに診療終了の30分前までです。日曜・祝日・お盆・年末年始は休診です。

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