パーキンソン病(PD:Parkinson disease)ふるえ・動きの鈍さ・バランスの崩れ — 早期診断と治療調整で生活の質を守る

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こんな症状はありませんか?

パーキンソン病には運動症状(ふるえ・こわばり・動きの鈍さ・バランスの崩れ)と非運動症状(便秘・嗅覚低下・睡眠中の異常行動・うつ・自律神経症状・幻覚など)の両方があり、非運動症状は運動症状の数年〜10 年前から出ることもあります。複数当てはまる場合や、片側の手のふるえ・動きの鈍さが続く場合は、「年齢のせい」と決めつけずに一度ご相談ください。早めの診断と適切な薬物治療で、長く今の生活を保てる可能性が高まります。

症状の見分け方運動症状の 4 主徴と非運動症状

パーキンソン病の運動症状には4 つの主な特徴があります。多くは片側から始まり、年単位でゆっくり反対側にも広がります。動作の遅さが最も大事な所見で、これにふるえ筋肉のこわばりのどちらかが伴うことが診断の出発点です3

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主徴 01 / 振戦 気づきやすい

ふるえ — 安静時に出る

じっとしているときに片側の手や指がふるえる。動かそうとすると一度止まり、しばらくして再びふるえることが多い。

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パーキンソン病で最も気づかれやすい症状です。ふるえだけがある場合は本態性振戦との鑑別が大切で、頭のふるえや動作中のふるえが主体なら本態性振戦の可能性が高くなります。

  • 左右非対称(片側から始まる)
  • ふるえの速さは 1 秒に 4〜6 回ほど
  • 動作中はいったん止まり、姿勢を保つと再び出る(再出現性振戦)
  • ストレス・緊張で強くなる
主徴 02 / 固縮 高頻度

筋肉のこわばり — 関節が動かしにくい

他の人に手足を受動的に動かしてもらうと、最初から最後まで一定の抵抗がある。歯車のようにカクカクと感じることが多い。

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実はふるえより頻度が高く、ほぼ全ての患者さんに認められます。ご自身では「肩こりがひどくなった」「腕や首が動きにくい」「寝返りが打ちにくい」として気づかれることがあります。診察で他動的に手や首を動かして確認します。

  • 歯車様(カクカク)— パーキンソン病に特徴的
  • 鉛管様(粘り強い抵抗)— 脳血管性パーキンソニズムに多い
  • 反対側の手で運動してもらうと増強する
  • 肩関節・首・体幹に出やすい
主徴 03 / 無動・寡動 必須所見

動きが鈍くなる — 診断の要

動作の開始に時間がかかり、速さや幅が小さくなる。診断にはこれが必須で、ふるえか固縮の少なくとも 1 つを伴います3

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ご家族から見ると「最近ぼーっとしているように見える」「表情が乏しい」「歩くのが遅くなった」が気づかれやすいサインです。ご本人は「服の着替えに時間がかかる」「字が小さくなった」「ボタンがはめにくい」「年賀状を書くのをやめた」など、生活の中での変化として実感されます。

  • 仮面様顔貌(表情が乏しくなる)
  • 小字症(書く字がだんだん小さくなる)
  • 歩行の歩幅が小さい・腕の振りが減る
  • 声が小さい・抑揚が乏しい
主徴 04 / 姿勢反射障害 後期

バランスが崩れやすくなる

バランスを取る能力が落ち、転びやすくなる症状。病初期は保たれ、進行とともに目立ってくる。

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病気の初期から目立つ場合は、パーキンソン病以外のパーキンソン症候群(進行性核上性麻痺など)の可能性を考えます。発症 1〜2 年以内に頻回に転倒する場合は、専門医での再評価が大切です。すくみ足(最初の一歩が出ない)も後期に出やすい症状です。

  • 方向転換時にバランスを崩す
  • 立ち上がった直後にふらつく
  • 狭いところを通る・目的地の手前で足がすくむ
  • 椅子にドスンと座る

受診から診断までの流れ問診・診察・MRI・必要時の専門検査

パーキンソン病は診察での所見を中心に診断します。MRI や血液検査で他の病気を除外し、必要に応じて専門的な画像検査を組み合わせることで、より自信を持った診断が可能になります3

  1. 問診 いつから・どんな症状か/片側か両側か/日常生活への影響(着替え・字の大きさ・歩き方の変化)/非運動症状(便秘・嗅覚・睡眠・気分)/服用中の薬(パーキンソニズムを起こす薬がないか)/家族歴をうかがいます。
  2. 神経学的診察院内で実施 動作の遅さ(指タップ・手の回内回外・つま先タッピング)/筋肉のこわばり(手首・首の他動運動で歯車様の抵抗を確認)/ふるえ(安静時・姿勢時)/姿勢反射(pull test)/歩き方を評価します。
  3. 血液検査・頭部 MRI院内で実施 血液検査で甲状腺機能・ビタミン B12・銅/セルロプラスミン(若年発症では Wilson 病の除外)などを確認し、頭部 MRI で脳血管性パーキンソニズム正常圧水頭症進行性核上性麻痺などの脳の構造異常がないかを除外します。
  4. 必要に応じた専門画像検査外注 診断に迷うとき、本態性振戦・薬剤性パーキンソニズムとの鑑別が必要なときに、DAT スキャン(黒質の機能をみる脳の画像検査)やMIBG 心筋シンチ(心臓の交感神経をみる検査)を専門施設に依頼します。これらが正常ならパーキンソン病の可能性は低くなります。
  5. 診断とお薬の開始日常生活に影響が出てから 国際運動障害学会(MDS)の診断基準に沿って判断し、症状が日常生活に影響を与え始めた段階で薬物療法を開始します1。早すぎる開始は将来の合併症リスクが、遅すぎる開始は生活の質の低下が問題になるため、始める時期を一緒に決めることが大切です。
  6. 経過観察と専門医連携 薬の効き方・副作用・進行スピードを定期的に確認し、必要に応じて運動障害専門医・脳深部刺激療法(DBS)対応施設・難病指定の手続き(指定難病 6)・リハビリ施設と連携します。

重症度をどう測るかHoehn & Yahr ステージ — 進行段階と対応の目安

パーキンソン病は少しずつ進行する病気で、その進行度合いを 5 段階で表すHoehn & Yahr ステージがよく使われます5。専門医はこれに加えて、運動症状・非運動症状・日常生活の影響をスコア化するUPDRS(パーキンソン病統一スケール)6を組み合わせて、より細かい変化を追います。今どの段階にあるかで、薬の調整・リハビリ・福祉サービスの利用方針が変わってきます。

ステージ日常での状態の目安
外来でフォローステージ I〜II:日常生活はおおむね自立
I片側のみの症状、日常生活に支障なし
II両側に症状はあるが、姿勢のバランスは保たれる。仕事や家事は続けられる
治療強化・リハビリステージ III〜IV:転倒リスク・介助が必要に
IIIバランスが崩れやすくなり、転びやすい。独歩は可能で日常生活に一部介助が必要
IV立つ・歩くのに介助が必要。独立した生活は難しいが、自力で立位・歩行は可能
集中ケアステージ V:全面的な介助が必要
V介助なしには寝たきりまたは車椅子。全面的な介護が必要

治療の組み立て薬物療法・専門治療・リハビリの組み合わせ

パーキンソン病の治療は不足したドパミンを補う薬を中心に、症状の出方・年齢・副作用などを考えながら患者さんごとに調整します17。長期的には薬の効きが切れる時間帯(wearing-off)への対応や、進行期の専門治療(脳深部刺激療法など)も選択肢に入ります。

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TYPE A / レボドパ(L-dopa)

ドパミンを補う最も効く薬

脳内でドパミンに変換されて働く治療の中心薬。動作の遅さ・こわばり・ふるえに最もよく効く。

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日本のガイドライン(2018)と米国神経学会のガイドライン(2021)では、症状が日常生活に影響する段階での開始が推奨されます17。少量から始めて、効果と副作用を見ながら増量します。長く飲み続けると薬の効果時間が短くなる現象(wearing-off)や、体が勝手に動く現象(ジスキネジア)が出ることがあります4

  • 製品例:メネシット®・ネオドパストン®・マドパー® など
  • 食事のたんぱく質で吸収が落ちることがある
  • 飲み忘れたまま自己判断で中止しない(悪性症候群のリスク)
TYPE B / ドパミンアゴニスト

ドパミン受容体を直接刺激する薬

脳内のドパミン受容体に直接作用する薬。レボドパに比べてジスキネジアが起こりにくい。

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若年発症の方や、レボドパだけでは効果時間が足りないときに併用することで、運動症状を安定させます。突発的な眠気(運転中の事故リスク)や衝動制御障害(買い物・ギャンブル・食事などへの抑えがきかなくなる)といった特有の副作用に注意が必要です。

  • 飲み薬:プラミペキソール(ミラペックス®)/ロピニロール(レキップ®)
  • 貼り薬:ロチゴチン(ニュープロパッチ®)— 進行期で使いやすい
  • 運転は原則禁止(突発性睡眠のリスク)
TYPE C / MAO-B 阻害薬

ドパミンの分解を抑える薬

脳内でドパミンを分解する酵素を抑えることで、ドパミンの効きを延ばす薬。

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レボドパと組み合わせることで wearing-off を緩和したり、軽症例では単剤で使われることもあります。抗うつ薬(SSRI・SNRI など)と一緒に飲めない組み合わせがあるため、他の医療機関で薬を処方されるときは「パーキンソン病の薬を飲んでいる」と必ず伝えてください。

  • ラサギリン(アジレクト®)/サフィナミド(エクフィナ®)
  • 抗うつ薬の一部・トラマドールと併用禁忌
  • 非運動症状(うつ・睡眠障害)の改善も期待できる
TYPE D / 進行期の追加薬

wearing-off やジスキネジアに対応する薬

レボドパだけでは効果時間が足りなくなった進行期に追加する薬剤群。

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病気が長くなってきたり、レボドパが 1 日に 4〜5 回必要になってくると、薬の効果時間を延ばす薬や、振戦・ジスキネジアに対応する補助薬を追加します。それぞれの患者さんで組み合わせ方が変わるため、症状日記をつけていただくと調整がしやすくなります。

  • COMT 阻害薬(オピカポン・エンタカポン)— レボドパの効果を延ばす
  • イストラデフェリン(ノウリアスト®)— ドパミン以外の神経回路に働きかけて wearing-off を改善する
  • ゾニサミド(トレリーフ®)— 振戦・wearing-off に効果あり
  • アマンタジン — ジスキネジアの軽減
TYPE E / 脳深部刺激療法(DBS)

進行期の専門治療 — 脳に細い電極を入れる手術

薬の調整だけでは症状の波を抑えきれない方に検討する進行期の選択肢。専門施設で行う。

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脳深部刺激療法(DBS:Deep Brain Stimulation)は、脳の深部に細い電極を入れ、ペースメーカーのような装置から電気刺激を送って症状を改善する治療です。レボドパが 1 日 5 回以上必要になる・オフ時間が 2 時間以上ある・ジスキネジアが 1 時間以上あるといった目安(5-2-1 rule)1を満たし、認知機能が保たれた 70 歳以下の方が主な対象です。当院から専門施設への紹介を行います。

TYPE F / リハビリ・運動療法

薬と並ぶもうひとつの柱

運動を続けることで進行を緩やかにする効果が報告されている、薬と並ぶ重要な治療。

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パーキンソン病では、適度な有酸素運動・ストレッチ・筋力トレーニングを続けることで、運動症状の進行を緩やかにできることが分かってきました。すくみ足や声の小ささに対しては、それぞれに特化したリハビリが有効です。当院では運動療法のすすめ方をお伝えし、必要に応じて訪問リハビリ・通所リハビリ・専門病院のリハビリと連携します。

  • すくみ足対策:音刺激(メトロノーム)・床のラインを意識する
  • 声の小ささ:LSVT LOUD(声を大きく出す訓練)
  • 姿勢の前かがみ:体幹のストレッチ・伸ばす運動
  • 転倒予防:バランス運動(太極拳・ヨガなど、ガイドラインで推奨されている運動)

似た症状を起こす別の病気主な 4 疾患と、関連/除外が必要な 4 疾患

パーキンソン病とよく似た症状を起こす病気がいくつかあります。これらをパーキンソン症候群と呼び、L-dopa の効き方・進行スピード・他の神経症状の組み合わせで見分けます。診断に迷うときは DAT スキャン・MIBG 心筋シンチを組み合わせて、より自信のある診断につなげます。

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DLB / レビー小体型認知症

幻視と認知機能の波

パーキンソンに似た動きの症状に加えて、具体的な幻視(人や動物が見える)と認知機能の日内変動がある。

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認知症がパーキンソン症状の前または 1 年以内に出てきたときに、レビー小体型認知症を考えます。当院ではもの忘れ外来で評価・治療を行い、認知症と運動症状の両面から診ていきます。

  • 細かく色のついた繰り返す幻視(実体験のように感じる)
  • 注意・遂行機能の日内変動(はっきりしている時間と、ぼんやりする時間が交互にくる)
  • REM 睡眠行動異常(RBD):夢の内容に合わせて大声を出したり手足を激しく動かす。通常は寝ている間に体が動かないようにブロックされる仕組みが弱くなった状態で、PD/DLB の数年〜10 年以上前から出現することが多い早期マーカー
  • 抗精神病薬への過敏性 — 慎重投与が必要
PSP / 進行性核上性麻痺

早期からの後方転倒と眼の動き

病初期から転びやすさ(特に後方)が目立ち、視線を下に動かしにくくなる病気8。L-dopa が効きにくい。

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パーキンソン病とは違い、発症 1〜2 年以内に頻回に転倒し、後方に倒れることが多いのが特徴です。眼が下を向きにくくなる「核上性注視麻痺」も診断の手がかりで、神経内科の専門医による診察が大切です。専門医での詳細評価と難病指定(指定難病 5)への対応が大切です。

  • 左右対称・体軸(首・胴体)の筋強剛
  • 下方視ができにくい・瞬きが少ない
  • 嚥下障害が比較的早く出る
  • 頭部 MRI で中脳の萎縮(ハチドリのくちばし様)
MSA / 多系統萎縮症

早期からの自律神経障害と小脳症状

早期から立ちくらみ・排尿障害が目立ち、ふらつく歩き方が前面に出る病気9

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起立時に大きく血圧が下がる起立性低血圧、排尿のトラブル、ふらふら歩き(小脳失調)、いびきや吸気時の喘鳴などが組み合わさるとき、多系統萎縮症を考えます。L-dopa の効きが乏しいことも特徴です。専門医での詳細評価と難病指定(指定難病 17)への対応が大切です。

  • 起立後すぐの強い立ちくらみ
  • 頻尿・尿失禁・排尿障害
  • 小脳失調(ふらつき・体幹のふらふら)
  • いびきが大きい・吸気時の喘鳴
CBD / 大脳皮質基底核変性症

左右差のあるパーキンソン症状+大脳皮質症状

左右差の強い動きの障害に、手を思った通りに動かせない・物の使い方が分からないといった大脳皮質症状が加わる病気。

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「片側だけ手の動きがぎこちない」「自分の手なのに思った動作ができない(肢節運動失行)」「自分の手が勝手に動くように感じる(他人の手徴候)」といった大脳皮質症状を伴います。L-dopa の効果は限られるため、症状ごとの対応とリハビリ・生活の工夫を中心に進めていきます。専門医での詳細評価と難病指定(指定難病 7)への対応が大切です。

  • 左右非対称が強いパーキンソン症状
  • 肢節運動失行・他人の手徴候・皮質性感覚障害
  • 頭部 MRI で一側優位の大脳萎縮
  • L-dopa の効果は限定的なため、リハビリ・装具・環境調整が治療の柱
本態性振戦

動作中・姿勢時のふるえ

ふるえだけが症状で、動作中や姿勢を保つときに出るタイプ。動きの遅さや筋肉のこわばりはない。

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パーキンソン病より頻度が高く、ご家族にも同じふるえがある方が多い病気です。両手・頭・声のふるえとして出ることが多く、安静時にはふるえないのがパーキンソン病との違いです。少量のアルコールで一時的にふるえが軽くなる方もいます。

  • 左右対称・両手のふるえ
  • 家族歴があることが多い
  • DAT スキャンは正常
  • 治療:β 遮断薬・プリミドン、難治例で MR ガイド下集束超音波
薬剤性パーキンソニズム

原因薬剤の中止で治る可能性

特定の飲み薬の副作用でパーキンソンに似た症状が出ているもの。原因薬剤を中止すれば改善することが多い。

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処方薬の中には、ドパミンの働きを抑えてしまうものが意外に多く、内服から数週間〜数か月でパーキンソン症状を起こすことがあります。原因薬を見つけて中止することで、週〜月単位で改善する場合が多いです。お薬手帳を必ず持参してください。

  • 抗精神病薬・スルピリド(ドグマチール®)
  • 胃腸薬:メトクロプラミド(プリンペラン®)
  • 降圧薬の一部:アムロジピン
  • 抗てんかん薬:バルプロ酸
  • DAT スキャンは正常
脳血管性パーキンソニズム

下肢中心の症状と段階的進行

小さな脳梗塞の積み重ねによる、下肢に偏ったパーキンソン様症状。手のふるえは目立たない。

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高齢者で、上肢は比較的問題ないのに歩行や下肢の動きが大きく障害される場合に考えます。MRI で多発する小さな脳梗塞や白質病変を確認します。脳卒中の予防(血圧・血糖・コレステロール管理)が治療の柱になり、L-dopa の効きは限定的です。

  • 下肢に偏った歩行障害(lower-body parkinsonism)
  • 段階的進行・脳梗塞のエピソード
  • MRI で多発ラクナ・深部白質病変
その他の振戦

甲状腺・アルコール・心因性などのふるえ

パーキンソン病でも本態性振戦でもない別の原因でふるえが出ているもの。原因疾患の治療で改善することが多い。

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血液検査や問診で背景となる原因を見つけ出すことが第一歩です。原因が分かれば、その治療や生活習慣の見直しで改善が期待できることが多い疾患群です。当院では血液検査・神経学的診察で背景を絞り込みます。

  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)— 血液検査で確認、専門治療で改善
  • アルコール性振戦・離脱症状によるふるえ
  • カフェイン・特定の薬(喘息薬・気分安定薬など)による振戦
  • 心因性(機能性)振戦 — ストレスや不安を背景に出るふるえ

救急対応が必要なサイン様子見せず救急要請を

以下にあてはまるときは様子を見ず、救急要請または救急外来へ

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緊急

すぐに119番

  • 高熱・著しい筋肉のこわばり・意識低下
  • 食事中のむせ込みからの呼吸困難
  • 転倒して頭をぶつけた・嘔吐・意識低下
119に電話する
注意

数日以内に受診

  • 急に動きが悪化した・転倒が増えた
  • 立ちくらみで失神しそうになる
  • 幻覚・妄想が出てきた
0942-42-1155 に電話
相談

予約受診・経過相談

  • ふるえや動きの鈍さが気になる
  • 診断後の薬の調整・経過観察
  • 難病指定の手続きの相談
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よくある質問

パーキンソン病は治る病気ですか?/進行を止められますか?
A. 病気そのものを完治させる治療はまだありませんが、症状をコントロールして長く生活の質を保つことができます。
  1. 最優先① 適切な治療で日常生活は長く保てる 薬物療法と運動療法を組み合わせることで、10 年以上にわたって日常生活を続けられる方が多くいらっしゃいます。早期発見・早期治療が鍵です1
  2. ② 進行を緩やかにする工夫はある 適度な運動を続けることが、症状の進行を緩やかにすることが分かっています。一方で、進行そのものを完全に止める薬は現時点ではありません。
  3. ③ 進行スピードには個人差が大きい 同じパーキンソン病でも進行のスピードには個人差があります。発症が若い方ほどゆっくり進む傾向があり、定期的な経過観察でその方の進み方に合わせた治療調整を行います。
薬はいつから始めるのがよいですか?
A. 症状が日常生活に影響を与え始めたら、開始をご相談する時期です。
  1. ① 始める時期は早すぎず・遅すぎず 日本のガイドライン(2018 年版)と米国神経学会(2021 年)のいずれも、症状が日常生活に影響する段階での開始を推奨しています17
  2. ② 高齢の方では L-dopa から 高齢の方や認知機能の心配がある方では、効果が確実で副作用が少ないL-dopaから始めることが多いです。少量から少しずつ増やします。
  3. ③ 若い方では運動合併症を見据えた選択 若い方では、将来の運動合併症(wearing-off やジスキネジア)を考えて、L-dopa と他の薬の組み合わせで始めることがあります。生活スタイル(仕事・運転)も考慮します。
ふるえだけがあります。本当にパーキンソン病ですか?
A. ふるえだけならパーキンソン病以外の可能性も高く、見分けが大切です。
  1. ① 安静時ふるえか・動作中ふるえかを確認 パーキンソン病のふるえは安静時に出るのが特徴で、動かそうとすると一度止まります。動作中や姿勢を保つときに出るふるえなら、本態性振戦の可能性が高くなります。
  2. ② 動きの遅さやこわばりがあるかを確認 ふるえに加えて動作の遅さ筋肉のこわばりがあることがパーキンソン病の診断には大切です3。ふるえだけ・両手対称・家族歴ありなら、本態性振戦をまず考えます。
  3. ③ 迷うときは画像検査で見分け 診察で迷う場合は、DAT スキャン(黒質の機能をみる脳の画像検査)で見分けます。本態性振戦なら正常、パーキンソン病なら集積が低下します。
車の運転は続けられますか?
A. 必ず主治医にご相談ください。使っている薬と病気の段階で、続けてよいかが変わります。
  1. 最優先① まずは主治医に相談 運転を続けてよいかは、お薬の種類・用量・病気の段階・ご本人の認知機能や反応速度などを総合して判断します。必ず主治医・かかりつけ医に相談してください。診察の中で、お薬の調整や運転を見合わせる時期の目安についてもお話しします。
  2. ② ドパミンアゴニストには「突発性睡眠」のリスク ドパミンアゴニスト(プラミペキソール・ロピニロール・ロチゴチンなど)は、前ぶれなく急に眠ってしまう「突発性睡眠」を起こすことが知られており、運転中だと重大な事故につながります。これらの薬を内服中の方は、添付文書上も運転は原則禁止です。やむを得ない場合は必ず主治医と相談のうえ、別の薬への変更も含めて検討します。
  3. ③ ご家族が「危ない」と感じたら早めの見直しを 薬の影響だけでなく、病気の進行による判断力・反応速度の低下も運転に影響します。ご自身やご家族が「最近運転が危ない」と感じたら、早めに見直しを。地域包括支援センターや警察署では、自主返納で公共交通の割引などのサポートが受けられる地域もあります。
家族にも同じ病気が出ますか?(遺伝するか)
A. ほとんどは遺伝せず偶発性ですが、若年発症や家族に複数いる場合は遺伝性の可能性もあります。
  1. ① 約 9 割は遺伝しない(孤発性) パーキンソン病の大多数は孤発性で、ご家族に同じ病気が出る可能性は一般集団とほぼ変わりません。「親が患者だから自分も必ずなる」ということはありません。
  2. ② 若年発症(40 歳未満)では遺伝性の可能性 40 歳未満で発症する若年性パーキンソン病の中には、遺伝子の変化が関係する場合があります(PARK2 / LRRK2 等)。日本の若年性 PD では家族歴があることが比較的多いです。
  3. ③ 家族性が疑われるときは遺伝相談を ご家族に複数の患者さんがいる場合や若年発症の場合は、遺伝カウンセリングを行っている専門医療機関でご相談いただくことができます。
薬の効きが切れる時間が出てきました。どう対応しますか?
A. wearing-off(薬の効きが切れる現象)には、お薬の調整で対応します。
  1. ① まずは症状日記をつけてみる 「いつ薬を飲んだ・いつ動きやすかった・いつ動きにくくなった」を 1〜2 週間記録していただくと、薬の調整が大きく進みます。スマホのメモやお薬手帳の余白で大丈夫です。
  2. ② レボドパの飲み方を調整 1 回量を少なくして飲む回数を増やす、空腹時に飲む、たんぱく質と離して飲む、などで効きを安定させます。
  3. ③ 補助薬の追加で効きを延ばす COMT 阻害薬(オピカポンなど)や MAO-B 阻害薬を加えることで、L-dopa の効きを延ばします1。それでも対応しきれないときは、進行期の専門治療(DBS など)も選択肢に入ります。
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つつみ脳神経外科クリニック
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